お知らせ
田辺聖子さんが、令和元年6月6日に永眠されました
日本の文学界に大きな功績を残された田辺聖子さんの訃報に接し、深い悲しみと喪失感にたえません。
田辺聖子さんは、終戦前後の三年間、樟蔭女子専門学校で国文学を学ばれました。「戦争で大変な時代だったけど、樟蔭時代は楽しかった」と母校をこよなく愛しておられました。思い出深いこの学舎に「田辺聖子文学館」ができたことを、たいへん喜ばれ、様々な資料を寄託してくださるばかりか、文学館の活動にお力添えくださいました。
中でも、若い人々に書く楽しさを知ってほしいと願われて、ジュニア文学賞を創設され、「この賞が、年若い人々の励みとなり、挑戦の冒険を楽しんで下されば……と思っています」とのメッセージを寄せてくださいました。ご多忙の中でも、たびたび文学館を訪れてくださり、表彰式にもご出席くださいました。卒業から七十余年、作家として六十年以上の歳月を駆け抜けた田辺聖子さんから、私たちはたくさんの物語と希望を賜りました。
本館が保管する資料は、田辺聖子さんが遺された膨大な資料のごく一部ではありますが、これからも田辺聖子さんの作品や業績を顕彰し続けてゆくことで、多くの人々に豊穣で心楽しい田辺ワールドを伝えてゆく文学館でありたいと思っております。
田辺聖子さんのご功績をしのび、ご生前のご厚情に心より感謝申し上げるとともに、衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。
大阪樟蔭女子大学田辺聖子文学館